耐性菌について1

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はじめに

耐性菌はどうして増えたのでしょうか? いろいろな説がありますが、私は医者が抗生物質を使いすぎた為に起きた事態だと思っています。 また、抗生物質の選択方法にも問題があると思っています。

特に「ペニシリン耐性」という言葉に惑わされて基本的処方の一つであるペニシリンを使う医師がめっきり減ってしまい、 新しい世代のセフェム系や、抗菌剤とも呼ばれるニューキノロン系を一番最初から使う傾向にあるため、 耐性菌が増えていく環境を医師自ら作っているのではないかと思います。

昨日、私の処方せんを持ってある患者さんが薬局に行ったら、 そこの薬局にはなんとペニシリン系の薬が1種類も置いていなかったのです。 これには驚きましたが、薬局が悪いというより、 その薬局を利用する患者さんたちがかかっている医師がペニシリンを出していないということなのです。

最初にお断りしますが、もちろん新しい世代の薬を私も使いますし、無いと困る状態の患者さんもたくさんおります。 皆さんがそのような薬を飲んでいたとして、それが間違いとは断言できません。 私は風邪の初期など軽症の人には原則として新しい世代の薬はいきなり使いませんが、 人によってはペニシリンが使えないなどの理由があって使うこともあります。 すぐに周りの先生を間違いだと即断せず、私の意見として冷静にお読みください。

私の抗生剤に対する考えの変化

数年前勤務医だったころ、抗生剤を処方するときはなるべく色々な菌に対応できるようにということで、 新しいセフェム系抗生物質をさかんに使いました。 最初は、思うように患者さんが治って行き、特に不自由も感じませんでした。 そのうちに、開業し、当時の1994年ころも同じ様な抗生剤の使いかたをしておりました。 ところが、開業して数年たつと、今まで効いていた抗生剤がだんだん効かなくなってきました。

薬の種類を変えてもあまり患者さんの状態が変わりません。 おかしいな、と思い菌の検査をすると、どの抗生剤にも効かない菌がさかんに検出されるようになりました。 また、患者さんによっては、検査結果は効くはずなのになぜか薬が効きにくくなっていました。 いままで簡単に治っていた中耳炎の子たちが治らないのです。

何回鼓膜を切っても再発する難治性中耳炎の子たちが山ほど来るようになりました。 すでに小児科の先生たちが、新しいセフェム系抗生物質を何種類か使った末に治らない状態で来るのです。 どうしたら良いか悩みましたが、基本に戻ってペニシリンを使える子たちにペニシリンも使うように処方を変えてみました。 すると、かえってペニシリンが効く子もたくさんいることに気付きました。 ただし、以前より薬の量を多めに処方しないと効きが悪いことにも気付きました。

日本では先輩の処方を見ながら真似をして処方する薬を選んだり、過去の習慣で薬の投与日数を決めるのが良く行われることで、 私もそうでしたが、これではいけないと思い、他国の事情を本や学会で知りました。

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